事業再生に「正解」はない。誰の目線で見るかで、答えが変わる
事業再生といっても、いろいろあります。
業種、規模、地域、業況、財務状態、負債額、債権者の数……。
私たち専門家にとっても、「これが正解」というものは、現実にはありません。
「なんで? その会社や事業を再生するという一点においては、不変なんじゃないの?」
そう思われる方も多いでしょう。
でも私に言わせると、それは現場を知らない人の見方です。
一言で「再生」といっても、支援する私たちの立場から見ると、
誰の目線に立つかで、中身がまるで変わってきます。
再生の「目線」は5つある

あくまで私見ですが、事業再生の目線は、大きく分けて5つあると考えています。
金融機関の目線
税理士など、専門士業の目線
経営者とそのご家族の目線
従業員の目線
取引先や個人など、金融機関以外の債権者の目線
もちろん、従業員や取引先などの目線も、とても大切です。
ただ、この記事では、ご相談の入口になることが多い、金融機関と経営者の目線を中心に、お話しします。
ご相談は、金融機関と税理士などからが圧倒的
私にご相談をいただく場合、過去の例では、金融機関からと、税理士など専門士業の方からが、圧倒的です。
ただし、税理士などからのご相談であっても、再生の当事者は経営者です。
支援を続けることになれば、主役は経営者になります。
つまり、おおよそ「金融機関」か「経営者」かということになります。
ここに、大きな違いが生まれることを、おわかりでしょうか。
金融機関の目線は「債権回収」
経営者の目線は「経営改善」、もしくは「債務整理」
金融機関と経営者では、目線が逆になる

金融機関から支援のご依頼を受けた場合、私たち専門家は、金融機関のご意向を無視できません。
要は「回収するために、どう再生させるか」です。
一方、経営者から(税理士などを経由する場合を含みます)ご依頼を受けた場合、普通に経営改善が叶えば万々歳です。
ただ、私たちのような現場の専門家にご相談の話が来る頃には、すでに「末期」の状態。
打てる手がほとんど残っていないことが多いのです。
そうなると、基本路線は
「経営者のご負担が、できる限り少なくなるように、債務整理をどう実現するか」
になります。
もちろん、債務整理の場合も、出発点は、目の前の経営改善です。
そこは、勘違いしないでいただきたいと思います。
このように、金融機関と経営者の目線は、まったく逆です。
当然、支援の手法も大きく変わります。
金融機関の側に立てば、経営者の責任を問う方向が強くなります。
逆に、経営者の側に立てば、金融機関のご意向と、ぶつかる場面が出てくることもあります(あくまで可能性の問題ですが)。
そのとき、何が正解で、何が不正解なのか。
答えなんてない、と私はいつも思います。
ある再生の話を聞いて
先日、ある会社の再生支援のご相談が、金融機関経由であったらしい、という話を耳にしました。
実は、その経営者とは、私が20年以上前に上場投資銀行に所属していた時代に、お会いしたことがありました。
当時は、会社と事業を立ち上げたばかりの頃だったようで、いろいろなお話やご相談を受けた記憶があります。
それから20年以上が経ち、「再生フェーズ」になったとのこと。
一時期は、相当好調だったようです。
世の中は、当時よりも資金が回っているように感じる今であっても、
そうですか、あの会社が……と、少し残念な気持ちになりました。
どういう再生をされるのかは、私にはわかりません。
ただ、先ほどお話しした目線の違いで、内容も方向性も結果も、相当違ってくるでしょう。
「金融機関とは、うまく付き合いましょう」
と、ご支援する社長様には、いつもお伝えしています。
ですが、経営者の目線に立つと、そうしたくてもできない場合があります。
もし私が、その会社の財務内容と経営の現状を診断するとしたら、どんな方法論に行き着くのか。
いろいろな想いが募ります。
本当に何がベストな答えなのか。
これは、永遠の課題なのかもしれません。
おわりに
事業再生に、これという正解はありません。
だからこそ、金融機関の方、税理士など専門士業の方、そして経営者ご自身。
どの立場の方からのご相談でも、まずは、お話をお聞きするところから始めたいと思っています。
金融機関とのお付き合い、資金繰り、返済のこと、会社の将来のこと。
「こんなことを相談していいのだろうか」と迷う段階でも、かまいません。
むしろ、早い段階のほうが、打てる手はたくさんあります。
ご相談は、下記からお気軽にどうぞ。
吉村 太一
中小企業再生・経営財務コンサルタント
タイセイ経営支援株式会社(会社とお金のまるごと支援所)
ご相談・お問い合わせ:https://taiseifundraisingsupport.jp/contact