これ、AIで何とかならんかな
― 対AIリアル奮闘記 第3話
前回までのおさらい
第1話と第2話では、「AIを使えば楽になると思っていたのに、なぜか仕事が増えていった」というお話をしました。
生成AIに任せたはずが、毎回説明をし直し、結果を確かめ、前に決めたことを思い出させる。
気づけば私のほうが、生成AIの記憶係・世話係になっていた――。
そんな話です。
そして第2話の最後に、ちょっとだけ予告をしました。
今回は、その続きです。
確認するだけ、のはずだった
ある支援先の会社――ここでは「建設業のA社」とします――では、社長が自分で社員の給与を計算していました。
私の役目は、その明細の中身を確認して、専用の会計システムへ入力(記帳)管理していくこと。
本来なら、さっと中身を確かめて、いつもどおり入力すれば終わり、のはずでした。
ところが。
控除している源泉税の額が違う。
雇用保険料も違う。
社会保険料まで間違っている。
……え〜っ!?😱
正直、唖然としました。
結局、全員分を私が計算し直すことに。
毎月の給与計算は、税額表を引き、保険料の表を引き、一人ずつ電卓をたたく、地味で神経を使う仕事です。
これを、毎月続ける?
「こんな時間効率の悪いこと、やっとれん!😤」
じゃあ、このチェックのために給与ソフトを入れる?
「たった1社のために? そんなん、費用対効果が合うわけない💦」
なら、社長に「給与ソフトを入れてください」とお願いする?
「たった数人の明細を作るために?」
「それこそ、この会社にとって費用対効果が合わへんよ……😩」
うちも合わない。
A社も合わない。
でも、毎月の間違いは放っておけない。
頭の中で、行ったり来たりしているうちに――
ふと、口から出たのが、この一言でした。
「……あ。これ、AIで何とかならんかな――。🤔」

生成AIに、初めて「計算して」と頼んでみた
それまでの私にとって、生成AIは、調べものの下調べや文章の下書きを手伝ってもらう相手でした。
仕事の「計算そのもの」を任せたことは、一度もありません。
ある日のお昼すぎ。
試しに、A社の社員の月給を伝えて聞いてみました。
「この月給なら、社会保険料と源泉税はいくらになる?」
返ってきたのは、きれいに整った表と、もっともらしい金額。
おお、さすが✨
……と思いながら、念のため実際の明細と見比べてみると……。
合わないんです。
勝手に置かれていた「前提」
まず、社会保険料の元になる「等級」が、実際とずれている。
明細に書かれた厚生年金の額から、逆に聞いてみました。
「この額なら、会社はどの等級で設定してると思う?🤔」
🤖「その額なら、ひとつ下の等級で設定されていると思う」
生成AIは、その月の給与の額から、等級を自分で決めて計算していたんです。
次に、雇用保険。
A社は建設業です。
「建設業の場合も、雇用保険の率はこれでいいの?」
🤖「建設の事業なら、率が違うよ。さっきは一般の事業で計算してた。端数の処理も間違えてた、ごめんね」
「ちょっと待って、さっきのは一般の率やったん?😳」
「しかも端数まで間違えてたって……💦」
おまけに健康保険は、こちらが伝えてもいない地域の率で計算されていました。
そして、源泉税。
税額表を自分で引いてみると、生成AIの答えとは違う額になる。
「源泉税の額、間違ってるよね?」
「総支給からこれとこれを引いて、税額表のこの行を見るんだけど」
🤖「指摘どおり。伝えられていない前提を、こちらで混ぜて計算してしまっていた。ごめんね」
「ごめんね、ちゃうねん😤」
「伝えてないことを、勝手に決めて計算せんといてよ💢」
業種も、地域も、控除に入れるものも。
生成AIは、こちらが伝えていない前提を「たぶんこうだろう」と自分で決めて、それを確かめもせずに、自信満々で答えていたわけです😩

それでも、手応えはあった
正しい等級を伝え、業種を伝え、引く順番を一つずつ確かめていく。
すると、答えはだんだん実物に近づいていきました。
間違いはする。
でも、こちらが正しい材料を渡せば、計算はものすごく速い。
「これ、毎月の計算を自動でやってくれるもの、作れるんちゃうか?😊」
最初の質問から、ここまで1時間足らず。
気づけば私は、こう打っていました。
「算定基礎額と総支給額、年齢、扶養人数、甲か乙を入れるだけで、保険料も源泉税も自動で出るものを作りたいんだけど、どう頼めばいい?」
この時点の私は、まだ知りませんでした。
「作る」と決めたこの日から、自分が何十日も、夜中まで画面にかじりつくことになるとは――。
次回予告
作るなら、プログラムを書いてくれる生成AIが要る。ところが、その生成AIが最初に出してきた画面は、いきなり英語だらけで……。
💡ここがヒント
生成AIは、こちらが伝えていない前提を「たぶんこう」と勝手に置いて、自信満々に答えることがあります。前提になる材料はこちらから渡し、出てきた答えは必ず実物と照らし合わせる。そうすれば、速さという強みが活きてきます。
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生成AIが勝手に前提を決めてしまわないよう、最初に渡しておく材料を1枚にまとめました。
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【対AIリアル奮闘記】
第1話:仕事を減らしたくてAIを使い始めた。ところが、私の仕事は増えていった。
第2話:AIを使えば楽になると思っていた私が、なぜ逆にAIの世話に追われるようになったのか