AIを使えば楽になると思っていた私が、なぜ逆にAIの世話に追われるようになったのか
― 対AIリアル奮闘記 第2話
AIを使い始めた頃、私はかなり期待していました。
調べものは速い。
書類も作れる。
資料もまとめてくれる。
計算だってしてくれる。
「これだけできるなら、私の仕事もかなり減るんじゃないか」
そう思っていたんです。
ところが。
実際に仕事の中でAIを使えば使うほど、なぜか私の仕事は減るどころか、逆に増えていきました。
前回も少し書きましたが、
AIを使って仕事を効率化しようとしているのに、「AIを使うための仕事や時間」が、そのまま上乗せされてるだけとちゃうか?!
そんな状態になっていったんです。
今回は、そのあたりの話をもう少し具体的に書いてみようと思います。
「これ、便利やな!」と思ったのは本当です
最初に言っておくと、AIが便利なのは間違いありません。
今までなら自分で調べて、考えて、資料にまとめたり、計算したりしていたことを、短い時間で形にしてくれる。
これは素直にすごいと思いました。
私の本業は、中小企業や個人事業の経営支援です。
経営改善、資金繰り、財務、融資、事業再生など、日々いろいろなことを考えたり、確認したり、資料を作ったりします。
だから、
「こういう仕事をAIに少しずつ任せていけば、私はもっと本来やるべき仕事に時間を使えるんじゃないか」
そう考えたのは、ごく自然なことでした。
ところが、実際に使い込んでいくと、だんだん妙なことに気づき始めます。
AIに仕事を頼むために、まず私が一生懸命説明する

例えば、何か仕事を頼みます。
すると当然ですが、最初に説明が必要です。
私が何をしている人なのか。
会社のこと。
仕事の背景。
これまでの経緯。
私の考え方。
何をしてほしいのか。
逆に、何をしてほしくないのか。
ここまでは当たり前だと思います。
人に仕事を頼む時だって、何の説明もせずに「これやっといて」では無理ですからね。
問題は、そのあとです。
かなり話をして、
「よし、これで分かってくれたな」
と思って続きを頼む。
ところが、少し話題が変わったり、新しいChatで続きを始めたりすると、
「あれ? それ前に話したよね?」
ということが出てくる。
前に決めたことが抜けていたり、微妙に違う前提で話が進んだりする。
そこで、
「いや、それ前にも言ったけど……」
と、また説明する。
説明し直して、ようやく戻ったと思ったら、今度は別のところが少しズレる。
また直す。
……あれ?
自分の仕事をしてもらうために、逆にAIの結果をチェックしたり修正したりする仕事で業務量が増えてないか?
書類を作ってもらえば終わり……でもなかった
例えば、
「〇〇の書類を作成して」
と頼む。
すると、かなり短い時間で形にはしてくれます。
これは本当に便利です。
ところが、出来上がったものを確認すると、
「いや、そこはそういう意味じゃない」
「この条件が抜けてる」
「そこは前に決めた内容と違う」
「直してほしいのはそこだけなんだけど……」
ということが出てくる。
そこで修正を頼む。
すると、直してほしかったところは直ったけれど、今度は別のところまで変わっていたりする。
「あ、そこは変えなくてよかったのに……」
で、また修正。
確認して、直してもらって、また確認する。
もちろん、自分でゼロから全部作るより早い仕事もあります。
でも、これが何度も続いてくると、
AIが最初の形を作った時間だけを見て、「仕事が速くなった」と考えていいのかな?
と思うようになりました。
大事なのは、そのあと私が何分、何時間かけて確認しているのか。
そこまで含めて、本当に時間が減っているのか。
です。
前に言ったことを、また私が覚えていないといけない
そして、私が一番しんどいと感じるようになったのがこれでした。
AIとのやり取りが増えれば増えるほど、
「前に何を決めたっけ?」
「この仕事、どこまで進んでたっけ?」
「前に直したあの部分、ちゃんと今回も反映されてる?」
ということを、結局こちらが気にするようになる。
AIを使っているはずなのに、私の方が過去のやり取りを覚えていないといけない。
場合によっては過去のChatを探して、
「あった、これだ」
と確認する。
そしてまた説明する。
……これ、何かおかしくない?(苦笑)。
私はAIに仕事を覚えておいてもらいたかったはずなのに、
気がつけば、私がAIの記憶係になっていました。

社長は「社長の仕事」をしなさい、と言っている私が……
これ、仕事柄ちょっと笑えないんです。
私は普段、経営者の方に、
「社長は本来、社長としての仕事にこそ時間を使うべきです」
という話をよくします。
社長が細かい作業を全部抱え込んで、一つ一つ細かく指示を出して、全部確認していたら、いつまでたっても社長の時間は空きません。
だから、任せられるものは任せる。
社長にしかできない仕事へ、時間を使う。
これは経営では当たり前の話です。
ところが。
いつもそう指導しているこの私自身が、AIに対して普通にそれをやってしまっていました。
説明する。
出来上がったものを見る。
違えば直してもらう。
また確認する。
以前の話が抜けていれば、また説明する。
「そこじゃない」
「前にも言った」
「それはもう決めた」
……なんてことを繰り返している。
これでは、私の仕事が減るわけがありません。
私はAIエンジニアになりたいわけではありません
そもそもの話ですが、私はAIエンジニアではありません。
プログラマーでもありません。
AIの仕組みそのものを研究したいわけでもない。
私がやりたかったのは、ものすごく単純です。
自分の仕事を、少しでも楽にしたい。
それだけなんです。
AIを使えば、
今まで自分でやっていた仕事の一部を任せられる。
その分、自分にしかできない仕事へ時間を使える。
私はそんなイメージを持っていました。
ところが実際には、
AIを使うために説明する。
確認する。
修正する。
前の話を探す。
また説明する。
そんな時間が増えていった。
便利にはなっている。
できることも増えている。
それなのに、
私自身は、思っていたほど楽になっていない。いや、逆にしんどくなってないか?😱
「AIを使うための仕事」が増えていないか?

もし今、AIを使い始めた人で、
「便利なはずなんだけど、なんか疲れるんだよな……」
と感じている人がいたら、一度これを見てみると面白いと思います。
AIが何をやってくれたか、ではなく、
AIを使うために、自分の仕事が何個増えたか。
説明する時間。
確認する時間。
修正する時間。
やり直す時間。
前のやり取りを探す時間。
AIに事情を理解してもらうための時間。
それらを全部足した時、本当に以前より自分の時間が減っているのか。
私の場合は、
「いや、これ……そんなに減ってないぞ」
というところから、逆になんか面白みを感じてくるようになりました。(マゾか!。。。違いますよ💦)
というより、
「これ、本当に効率化になってるんか?」
です(苦笑)。
だったら、まず一つの仕事からやってみよう
とはいえ、ここでAIを使うのをやめようとは思いませんでした。
便利なのは間違いない。
問題は、
「AIを使うか、使わないか」
ではなく、
どうすれば本当に自分の仕事を減らせるのか。
そこなんじゃないか。
そう考えるようになりました。
まずは、
「毎日の仕事の中で、時間がかかっているものを一つずつ何とかできないかな」
ということを考えていた程度です。
いきなり仕事全部を変えるなんて無理です。
だったらまず、
目の前にある一つの面倒な仕事を、少しでも楽にしてみよう。
そこから始めればいい。
そんなふうに考えました。
そして、ちょうどその頃。
あるご支援先企業様のお仕事で毎回かなり時間を取られている業務がありました。
それは、社長ご自身が計算、作成された、役職員全員の給与明細の内容確認とチェックです。
本来は、サクッと内容確認だけでいい筈が、控除する源泉税の額が違う、雇用保険料額が違う、加えて社会保険料すら間違えてる…え~っ!?正直、唖然としました。
それも気付いたのが年末調整前。
さあ大変だ💦
仕方ない、私が再計算するしかない。
でも……
「毎回こんなことやっとれんわ💢」
そこから私は、人生でほとんど縁のなかった「自分の仕事を楽にするための小さなシステムづくり」へ足を踏み入れていくことになります。
ちなみに当時の私は、
「Pythonって何?」
という状態です(笑)。
今でも技術そのものを詳しく説明しろと言われたら困ります。
そんな私が、AIに聞きながら仕事のシステムを作ろうとする。
当然、すんなり進むわけがありません。
むしろ――
ここからが、本当の「対AIリアル奮闘記」の始まりだったのかもしれません。
次回予告
毎回時間を取られていた、とある支援先企業の給与明細内容のチェック業務。
「これ、AIで何とかならんかな――。」
……まあ、そう簡単にはいきませんでした(笑)。
次回は、
AIと一緒に初めて実務システムを作り始めた話
を書いてみようと思います。
「AI、便利なはずなのに、なぜか自分の仕事が増えてる気がする」
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【対AIリアル奮闘記】
第1話:仕事を減らしたくてAIを使い始めた。ところが、私の仕事は増えていった。